塩分の取り過ぎは高血圧になるのか?

塩分と高血圧の関係
貨幣がまだ存在しない時代には、労働に対する報酬が貴重品だった塩で
支払われていたので、塩はサラリーの語源にもなっています。

それほど、塩は人間の生活に欠くことのできないものです。
塩は私たちの体の中で、血液も含めた体液の移動、細胞間の各種物質の吸収、
排泄を助けるなど重要な役割を果たしています。

体にはある程度の塩分が必要なので、体内に必要なだけ補給をしなければなりません。
ところが、何事も過ぎたるは及ばざるがごとしで、過剰になってしまうとさまざまな問題が起きてきます。

従来、日本は米を主食にし、米食に合う塩味の献立が中心に食が組み立てられていたので、
欧米より塩分を多く取る傾向にあります。

一説によると欧米人1人の1日の食塩平均摂取量が5~7グラムに対し、日本人は15~30グラムだといいます。

血液中に食塩の主成分であるナトリウムが増えると血管を構成している平滑筋の
ナトリウムが増大し、それが細胞内のカルシウムイオンを増やし、平滑筋を収縮させます。

つまり血管が細くなって血圧が上昇してしまうということです。
潮の摂りすぎが高血圧の原因といわれるのは、体の中でこのような働きが起こるからです。

しかし、最近になって血圧が塩分摂取量の変化に反応する人と、塩分を多めに取っても反応しない人がいるという事実が明らかになりました。

前者を食塩感受性タイプ、後者を食塩非感受性タイプと呼び分けます。

このタイプを見分けるには、2週間入院して専門家による検査を受ける必要があります。
統計的に見ますと、若い人より高齢者、男性より女性に食塩感受性タイプの人が多い事が分かっています。

では食塩非感受性の人はいくら塩分を取っても健康に害はないのでしょうか。

これについての明快な答えは、今のところ出ていません。
世界的に見て摂取量の多い日本人としては、はやり用心すべきでしょう。